リープヘル・コンポーネンツ・コルマー社によるエンジンブラケット
金属部品をサプライチェーンに統合
2011年に設立された Liebherr-Components Colmar SAS(リープヘル・コンポーネンツ・コルマー社) は、大型ディーゼルエンジンの開発、設計、組立、そして試験を専門としています。これらのエンジンは主に 鉱山用ダンプトラックや油圧ショベル、発電設備 に使用されています。
Liebherr Components は、高性能コンポーネントの開発および製造のスペシャリストです。製品ラインナップは、機械式・油圧式・電動式駆動システム、および制御技術分野のコンポーネントを網羅しています。
同社のコンポーネントは優れた品質と堅牢な設計で知られています。航空宇宙産業や風力発電業界をはじめとする幅広い分野で、さまざまな機器や装置に最適なソリューションを提供しています。
課題
Liebherr社では、エンジンを固定するためのエンジンブラケットを使用していますが、この部品は少量生産しか必要とされません。
従来のCNC加工による製造では、生産数量が少ないため、1個あたり最大102ドルという高コストになってしまいます。さらに、これらの部品を機械加工するために必要な時間が長く、納期が数か月にも及ぶという課題もありました。
解決策
この部品は非標準かつ少量生産が求められる補助コンポーネントであるため、積層造形(Additive Manufacturing)に最適な用途です。Liebherr社は、金属FFF技術(Metal FFF technology)の可能性を研究開発の専門知識をもとに検証し、その結果、この用途を自社のサプライチェーンに完全統合。実際にエンジンへ搭載可能な機能部品として製造することに成功しました。
さらに、設計段階では以下の最適化・シミュレーションが行われました
・トポロジー最適化による、造形に適した軽量かつ高強度なブラケット設計
・ブラウンパート安定性シミュレーションによる造形性の検証
・脱脂・焼結の仮想シミュレーション
・構造シミュレーションおよび仮想組立シミュレーションによる形状精度確認
・振動解析(Vibration Analysis)による、4つのエンジンブラケットが高い運転荷重に耐えられるかの評価
これらの工程を経て、Liebherr社は機能性・信頼性を両立した金属3Dプリント部品を実現しました。